'90年代前後に国内で爆発的ブームとなったフライトジャケット、
その火付け役となり、その後、帽体を小型化しつつ安全基準をクリアし、
スモールジェットヘルメットというカテゴリーの元祖となった「ブコヘルメット」、微妙な表情の再現だけでなく素材、
縫製にもリアリティを 追求したウエアやアクセサリーを身につけた究極のアクションフィギュアなど、
エポックメイキングなプロダクツを生み出してきた「トイズマッコイ」。その創設者が岡本博である。
「スティーブ・マックイーンとの出会いが大きかった。子供の頃テレビや映画を見ると、必ずマックイーンが出ていて、
すごくカッコよかった。乗っているバイクがトライアンフっていうんだ、とか着ているジャケットがA-2なのか、
とかマックイーン本人はもちろん、身辺のアイテムにもどんどん魅かれていって……」(岡本)
トイズマッコイプロダクトは、アメリカン・ヴィンテージ・クロージングの魅力に憑りつかれた男たちが集まって
自然発生したカンパニーといえる。
大好きなヴィンテージをまっさらな新品状態からクタクタになるまで存分に着倒したい。
また物心ついた時に観た映画のヒーローが着た服を自分も着たい。
それには自分たちで当時と同じものをゼロから作るしかなかった。
道のりは険しく、加速度的に失われていく旧時代の職人技術や使い込むことでヴィンテージと同じ風合いへ経年変化する天然素材、
独特の表情を決定づけるステッチを施す旧式のミシンなどを探して、使い続けることがいかに難しいか・・・・。
しかし服飾の常識を逸脱した細部へのこだわりは、徐々に賛同者を増やした。
本物を作りたいという想いを込めたトイズマッコイのプロダクツは商品というより作品といった表現がふさわしいのかもしれない。